35.『神』の天秤

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※ケイ視点

幸い、オレとジニアスのいる場所には、空が見える。下は荒野だな。動き廻ってみたが、二百キロ四方あるフィールド。

床は、例のクリスタル素材で透けて見えているのか。

――コツッコツッっと、ジニアスの足音が響く。ヤケに、硬質的だ。

百年間時間を飛ばして殺そうとした相手。

何故、オレとダイスは助かったんだろう?ライアンはジニアスが殺したのか?聞けるタイミングがあったら聞こう。

優先すべきは、アイツを無力化する事。

オレは、ジニアスを止めなきゃいけない。アイツの考える正義のなれの果て。間違えた支配構造を作った責任をとってもらう。個人的な恨みは別にいい。

冥王星から地球までの旅で、様々なことを体感した。全部が全部間違っているとは思っていない。そうしなきゃ、いけない時もあったんだろうな。

他の王達は、あの当時は話合い出来なかったとしても、オレとダイスと話をする時間をどうして持てなかったのか。オレとダイスが、ガキすぎたから?最初から話し相手にはならないと判断したのか。話をしてないのに、そりゃないだろうよ?

まずは、体を『風』にする。

オレは『気候』そのもの。

頭の使い方、応用の仕方で、自然発生しているモノには『全て』変化出来る。

例えば、『空気』。透明の気体の集まり。こんなモノに変化するのも簡単だ。

纏っているもの、全て変えられるようにした。

『風』に変化する様を、ジニアスは黙って眺めていた。

今、距離は、五十メートル程か。もう少し、離れた方がいいな・・・・・・。

体に『雷』を混ぜ、一瞬で、ジニアスが作った空間の端へ来る。

――狭いな。

出来ることは全て行う。

オレ達全員が本気になって、ぶつかり合うというのは、まさに次元を超えた戦いだ。

天空は、異常に濃い暗雲が覆い尽くし、豪雷と共に豪雨を降らす。暴風塵と共に竜巻の種となる小さな渦を幾つも仕込む。

グレイスから貰った多面体の鏡の様な鉱石を、粉々にし、大気中に張り巡らせる。

グレイスはコレで《Prism/プリズム》と言った技を使かう。

それをヒントに、『誰一人』追いつくことの出来ない領域を作り上げる。

《雷刃》《風刃》そして、オレ自身が『雷』の速度を超えた《光》となる。

約秒速百五十キロの世界から、秒速三十万キロの世界へと速度の桁が跳ね上がる。

乱反射し続ける《光》と共にオレがソコに立っているかのような《幻影》を一体作る。 本当の体は、《光》と《気候》に混ぜ合わせながら、《分子》レベルまで、下げ霧散させた。もう、体という実体は、相手にはわからない。常に《幻影》が体に見えるだろう。この領域内の『全て』は、オレの目となる。

この《幻影》を実体だと思わせる、天文学的な難度も《Thunder Brain》を超えた《

Light Brain》ならばたやすい行為だ。

完全なる『領域』。

ダイスがハデスの相手をしてくれて、助かる。天敵となり得る『闇』だからな。

ジニアスには聞きたい事が山程ある。本当は話合いをしたい。話もせずに、殺すというなら、抵抗するしかない・・・・・・。

ジニアスから、逃げ回る事は幾らでも出来る。この領域で、オレに追いつける奴はいない。アイツは何を考えているんだ。

それもわかっているはずだ・・・。次元操作、時間操作の範囲、攻撃手段は剣以外もあるのか?あの能力で、どんな種類の技を使う?考える事が多すぎるな。

――的を絞るか。まずは、体の強度、速度。

時間操作が出来るんなら、不意打ちで簡単にオレを始末できたはず・・・・・・。わざわざ、ハデスと『取引』をする理由もない。能力には、恐らく何らかのリスクがあるのか?

この『領域』なら、次元を断たれても何も怖くない。元の次元に光速移動するだけだ。

気になるのは、ジニアスの体だな。近寄ったときに、正面から『風刃』を数十と食らわせて見たが、少し動いただけだった。相当な堅さだった。傷がない。軍服が裂けただけだ。

全身に何か身に纏っているのか?今、対峙して出来る事は何だ?

◆◆◆◆◆

《幻影》をジニアスに近づける。向こうもユックリと歩いて近づいて来た。

「いや、ケイは速過ぎるな。光ったときにはいなくなっているからね・・・・・・。私に聞きたいことだってあるだろう?いくら考えても、答えはでないよ。私しか知らない事実が多い。追いかけっこは止めにしないか?」

念には念を《幻影》を暗雲で覆う。何もわからせないようにする。

ジニアスとて、簡単に近寄れないだろう。

「凄まじいな・・・・・・。空間が全て支配されているかのようだ。あのまま、戦わなくて良かったよ。宮殿も何もかも全て台無しにされるからね。私は、ケイの能力が一番怖い。敵に回したくなかった。ハデスと『取引』をしておいて良かったな。ダイスも一緒じゃ、万が一、私が敗れる恐れがある。相当のリソースを持って行かれるだろうからね。アイツは頭が切れる上に、何をしでかすのか読み辛いから。何か疑問があるなら、今答えようじゃないか」

ジニアスは笑みを崩さない。この『領域』内にいても、その姿は余裕と威厳に満ちている。百年間に渡って、人間を統率してきた人物だ。本来の姿より、ずっと大きく大きく見えた。

「じゃあ、お言葉に甘えて。何故、オレとダイスは助かったんですか?殺すつもりだったんでしょう?あのシェルターにいたのも意味がわからない」

「それはライアンに感謝するんだね。アイツがこっそりと作っていたシェルターに君達を入れて閉じ込めたんだ。ライアンは私に抵抗していたが、足を切り飛ばして、ハデスが洗脳させるために『冥界』へ連れて行った。私はその間に、シェルター毎、時間を飛ばしただけだ。冥王星にいたのは、たまたまだろうね。まさかあの時点で、百年も人を生存させておけるシェルターを作り出す技術があるとは思いもしなかった。ライアンの技術が上をいっていただけの偶然。・・・・・・いや、必然なのかもしれないな」

「ライアンを殺したのは、あなたですか?」

「そう。私とハデスだ。必要がなくなったからね。能力の研究材料になって貰った」

「百年間たって、この支配構造がおかしいと思わないんですか?これじゃあ、人は皆、篭の中の鳥だ!」

「空を飛ぶことが出来ると知っている鳥だけが、そう思うんだ」

「水星の環境だって、なんであんな事になっているんだよ!!一回罪を犯せば、人じゃないのか!?人は、過ちに気付きやり直す事が出来る!どう考えても、おかしいだろう?

「罪を犯した人間は『悪』だ。同じ事を繰り返す。中々、人間の本性というのは変わらない。水星は管理する側にとって、とても運用しやすかったよ。人々の『犯罪』の抑止力としても、上手く機能した」

「・・・・・・・・・ジニアス。オレはあんたを尊敬していた。人間の可能性を決めるのか!?自由の範囲を狭くしていいのか!?あんたは、そんなに偉いのかよ!!!」

「私は、この太陽系惑星国家の頂点であり、人間の可能性を決める権限を持っている。他の人間とは全く別の存在。唯一無二の現人神だ。偉いに決まっているだろう?全てを管理し、秩序をもたらす存在だ。悪は悪。善は善。見直すことなどない。君の考えとはまるで違うな。ここまで言えば、ケイの主張したいこととは、違うことがわかってもらえるかな?」

「あぁ。十分にわかったよ。やっぱり間違っているな。オレはその考えを覆す」

もう、いい。本当に十分だ。狂っている。

「さぁ、コレで話合いはおしまいかな?ではでは、殺し合いといこうじゃないか」

◆◆◆◆◆

この空間の時間の流れが変わり出す。雲や風を見ていれば、一目瞭然だ。かなり早くなってる。

ランやヨシの様に、ジニアスの手足と体を狙って、無数の光の矢を仕掛ける。

――――――《Rain of Light Arrows/光矢の雨》――――――――

ジニアスの体は外套で受け止めようとしたようだ。ハリネズミの様に、刺さっている。

軍服は庇いきれなかった部分の軍服は裂け、体が見えた。鎧を纏っているのでも、時空の能力を使っているのでもない。生身の体じゃ無い。クリスタルか!?

「嫌な攻撃だ。隠せるモノではない・・・・・・。今ので、体の事はわかったろう。機械仕掛けなんだ。『予知』出来ても、躱せない攻撃はある。仕方が無い事だ。他のオリジン連中と知り合い、短期間でココまで変わるとは強すぎる運だな」

次は《電撃》。ジニアスの体自体は、電撃があまり効果を持たないようだな。でも、それ自体は隠れ蓑。どうやら、目は本物。光で目を眩ませてからの物理攻撃がメイン。短剣に氷刃と風刃を纏わせ、直接切り込む。狙いは腕の付け根と心臓部。

――チッ、マジで堅すぎるな。

「生半端な攻撃は無駄だ。この体は、神話の大神が作り上げた『アダマス』という特殊な鉱石を使った体だよ。『軍神』『赤鬼』ユウの《Aegis/イージス》と同程度と考えてくれた方がいいだろうな。接近戦には、私も自信はある。この剣の力をみせてあげようか」

ジニアスの右目が光を失った。形状変化し、二メートル以上となった大剣を軽々と振り回す。

力もあるんだな。

剣の速度なんて合って無いようなモノだ。

次元操作の能力の怖さとは・・・・・・、次元を生み出し、破壊する力。

あれは、そういう類の剣。削られると、ココから、その部分は消える。

瞬き一つの間で、オレの《幻影》の周りに無数の足跡がついていた。竜巻が起きた形跡が複数ある。どうやら、この『領域』は有効だな。

ジニアスは《幻影》相手に攻撃を続けていたようだ。

幾ら、切り裂いても、時を止めても無意味だ。空間を支配しているのは、オレなのだから。

オレは再度ジニアスの正面に立つ。どの位、時間が止まっていたんだろうな?相当、止められたようだね。雲の位置が変わりすぎている。数時間単位だろうな。

「普通じゃないな。これだけ、時間を止めても何も得られないとはな。これじゃ、時間の無駄使いだ。竜巻を仕込みすぎだろう?」

オレは再度、《電撃》浴びせる。確認のためだ。

確定したことがある。

能力を大きく使うにはリスクがあるんだな。右目は何も見えていない。体がクリスタルなのは、コレまでの能力の対価か・・・・・・。

あとは、『予知』も連続で使えないようだな。まるで、先が読めていない様にしか見えない。ヨシの話じゃ、予知は頭に焼き付く光景だったな。

ジニアスが此方に向かって、数回剣を振るう。

空間ごと削り取られている。ダイスの使う空間への『振動』のように今あるモノを壊して、歪ませるのでは無く、空間、いや、空間も含む次元自体を切り裂いている。さっきまでいた立ち位置とは全然違う所へ移動しているからな。

まだ、ジニアスは本気を出していない。右目を失う程、能力を使い続けたんだ。生身の体の部分は殆どないだろう。油断しているなら、そこをつくだけだ。

――空間を破壊するか。

二百キロ四方では、足りないな。『アレ』を使うにはもっと距離が欲しい。十倍の二千キロ四方は欲しい所だ。

暗雲から、数百万の『雷』を作り出す。もはや、夜と思う程、辺りは黒い雲で覆われている。

アイテムボックスから、二本の棒と太鼓を取り出す。速度は、劣るが威力や範囲は、光矢の比ではない。

「まるで、夜の闇のようだ」

ジニアスは、上を見上げ一言だけ、そう呟いた。

「悪いが、この空間諸共、破壊する」

――――鳴り響け。《雷鼓》――――

『ガガドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド』

空間は破壊できた。どうやら成功だな。さて、一旦距離を取るか。

「これだけの大きさでも、ケイには、小さい箱か・・・」

『雷』速で、駆け巡る。

んん?ココは、地球じゃないな?

何処だろう。相当、大きい惑星だ。

村落がある。人がいるって事は太陽系の惑星だな。

ジニアスもすぐには来れないだろう。

通りがかりの村に立ち寄り、何処の星か訪ねる。

「ココは木星だっちゃぁ~、お兄さん、なんでしらんのかえぇ?」

「あっ、そうですか。わかりました。ありがとうございます」

木星かよ!?地球を大事にしていたみたいだから、他の惑星の可能性は考えていたが・・・・・・。大地を壊す訳にはいかないな・・・・・・。

しょうが無い。ジニアスの所にいって、交渉するか。再度、空間を作って貰おう。ユウが何処にいるのかも聞きたいな。そのくらい教えてくれるだろう。

ジニアスの所に戻ると、空間に深く大きな切れ目をいれていた。一気に移動するつもりだったんだろうな。

「ジニアス、戻ってきたぞ。ココは木星なんだな。交渉をしないか?皆の居場所を教えて欲しいんだ」

「ハハハッ、人に聞いたのか。大きい惑星だろう。また、置いて行かれたとと思ったよ。おとなしく、私の作った空間に入ってくれるなら、それぞれの状況を教えよう」

「空間って言っても、あんなサイズじゃ話にならない。そうだな。二千キロ四方で手をうたないか?あの狭さじゃ、オレは技を使うに使いにくいんだ」

「・・・・・・しょうが無いか。『赤鬼』ユウは火星だ。他の連中は皆、『冥界』にいる。ハデスがいないと移動に不便だな。私は空間を作り、切り裂いただけだ。後はハデスのゲートで移動したに過ぎない」

なるほどな。

ジニアスが空間を切り裂き、再び、その中に入る。今度の空間は、今までと違う。

小さな惑星みたいだ。廻ってみたが、サイズは約束通り。球形だな。星の動きが見て取れる程、早く変わる。この空間の自転が早いのか!?

「ケイ、お互い、小手調べはここら辺でやめにしないか?持っている技を使い合おうじゃないか。この惑星は先ほどとは、比べものにならない。私の作れる最高強度だ。あぁ、安心したまえ。私を倒せば、木星に戻るよ」

迷い無く、自分の武器を『ケラウノス』に変える。桁違いの威力の雷を放てるオレ自身の生み出した武器。オレの意思を反映するように形状変化する。今は煌めき、炎の様な揺らめきを持っている。

「おぉ、それがかの有名な『ケラウノス』か。神々しいな・・・・・・。私も出し惜しみはしないよ。ケイがいない百年の間、私は能力の研究をずっと続けた。色々、得たモノもある。君はヒドラと戦っただろう?『メイガス・ストーン』そのモノの力はよくわかったハズだ。私達の持つ能力と『メイガス・ストーン』の力、百年進んだ科学の結晶。それらを合わせたのがコレだ」

ジニアスの両手には、二つの球が浮かんでいる。

その球形は、見覚えのある模様をしていた。

――小さい地球。それが二つ。

「この一つは、百年前に戦争でボロボロになってた地球だよ。時間を操作して、私の体の多くを犠牲にして戦争前に戻したんだ。もう一つは、今の地球の予備。長年、かけて作りだした私だけの武器『Earth』だ。人に見せたのは、ケイ。君が初めてだ。光栄に思うがいい。『私自身』が多数込められている」

――理解すればするほど、恐ろしく残酷な武器。

あの武器はただの器じゃない。大勢の『人間』も、『動物』も、『時間』も、『次元』も、何もかもが凝縮されて詰まっている――。

背筋に寒気が走った。

動悸が収まらない。

冷や汗が流れ続けている。

アレを『武器』という意味。それを平然と行えるであろう狂気。

ただただ畏怖した――。

ジニアスは両手に『Earth』を浮かべている。多くの『命』が詰まっている。

――立ちすくんでも何も変わらない。

ここまで、来たなら決着をつけるだけ・・・・・・・・・・・・。

ジニアスを前にして、油断をするのは論外だ。

何とか闘志を燃やし、打開策を考える・・・・・・。

ドンドン思考が矛盾していく。

――自然と言葉が零れた。

「も、もぅ、やめませんか?」

「ケイ。世界を天秤にかけるというのは、こういう事だよ。君は優しいからね。私が神だと言っただろう?私は人間ではない。そう、もう一度言おう。私は神だ。全て分かっている。そう、何でも分かっている。今の君の恐怖も、過剰な自信も、愚かなエゴも、何もかも。君が『全知全能』の主神ゼウス!?笑わせるな。何の覚悟があると言うんだ?」

生半端な覚悟のつもりじゃないはずだった。

そう、勘違いしていたのかも知れない・・・・・・。

オレには、あの地球を壊す覚悟などない・・・・・・。

「『Earth』よ。哀れなゼウスに、百年前の戦争を味合わせてやれ」

――――《Third World War/第三次世界大戦》――――

小さな地球の中で戦争が始まった。

そのダメージは全てオレに向かってきた。

膨大なエネルギー。

オレの体は幸か不幸か無事だ・・・・・・。

心が・・・・・・。

精神攻撃の類だといいな・・・・・・。

大勢の人が争い、死んでいく姿を俯瞰して見ていた。

ジニアスの感情が、半分消えた。感情が対価・・・・・・。

唇を振るわせながらも、オレは静かに尋ねた。

「まさか、本当に人が死んでる訳じゃ無いよな・・・・・・?」

「甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘すぎるぞ!!!!!甘くて、反吐が出るぞ!!!!今、見ただろう?過去にも、体験しただろう?全部、人間が行った行為だろう?そして、今もまた同じ事が、この中で起きたんだ。私の能力で戦争前まで戻した地球を、誰かさんが、中途半端な正義感と無謀な挑戦を試みた為に、何億人死んだろうなぁ?お前は馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ救いがたい大馬鹿者だ!!!!!」

ジニアスは激昂している。さっきまでの氷のように冷たかった声から、大爆発を起こしたような怒鳴り声へと変わった。蔑みの感情と怒りが、混在している。

気づくと、オレの目からは涙、鼻からは血、口からは涎が出ていた。

「私は、この争いを辞めるつもりはないんだよ!!!言ったじゃないか!!!!!『殺し合い』だと!!人の歴史は、殺し合いの歴史だ!!!!教科書でも勉強しただろう?こうして折角『Earth』を出したんだ。もっともっと深く知るがいい。優しい感情等はもう、私には存在しない。止めて見せろよ!!ハッハッハ、アハハハハハハハハハ。いい顔だなぁ。王達が『予知』で見ただろう『第四次世界大戦』を!!!アッハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!!」

二つの『Earth』が空高く上がっていくのを、黙って眺めていた。

当初考えていた攻撃をする気力は、もう失せた。

心が・・・・・・折れた。地球を壊してしまった。

オレのエゴ?

『Earth』の力が、この空間を充満していく。凝縮された生命の塊。時間の塊。次元の塊。

ジニアスは両目を瞑り、両方の手の平を上に向けているだけ。怒りが祈りへと昇華されていく。オレにはそう映った。動く事も、声を発する事もしてはいけない侵しがたい雰囲気。

動く気力もなくなっていく。

目を開けたジニアスの左目が、光を失った。アイツは両目が無くなった。

「折角、お披露目したんだ。『Earth』の力を思い知れ。私は『絶望』しか残さないぞ。徹底的にな。ハハハッ!!」

―――――《Lost Orbit/失われた軌道》――――――

この小さな惑星だけでは無く、宇宙全体の軌道が崩れたように、轟音を発していた。見渡す限りの星々や惑星が、太陽を目がけて動き始めた。

「ケイ、もう理解したか?全ての天体は、後二時間もすれば、燃えて無くなる。コレが『Earth』の真の力だ。金星の王すらも、私を、神を『天秤』にかけた。神を愚弄する者を生かしておく程、寛容ではない。『正義』に逆らった者は全て『悪』だろう?太陽に近い順に、無くなっていく。もう、今の連中はいらない!!!!!消えて壊れてしまえ!!!!!私の『Earth』から作り直すだけのこと。お前らは、皆、『太陽』の元で焼け焦げてしまえよ。ウハハッ!!!ハッハ!ハハハッハハハハッハハハハ!!楽しいなぁ!!おい!!そう思わないかぁ?????なぁ、どうしようもないだろう。アハッアハッアハッハッハハハハッハハハハハハハハハハハハハハッハハハハハッハハ!!!!!」

何とか、正気を保つよう精神を整える。

正直、本当に、正直、ココまで狂っているとは思っていなかった。甘かった。こんなに簡単に『宇宙』をかけてくるなんて――。

心の何処かで人格者であるとずっと信じていた。正気の沙汰じゃ無い。いつしか、自分の正しさを疑うということをしなくなったんだろう。神だと本気で思ってやがる。

この世界で、この宇宙で、今、コイツをジニアスを止める事が出来るのは、オレだけ。

――惑星すらも、全て動かす力を何とか出来るのか!?

いや、何とか出来るか?じゃない。

何とかするんだ。オレが。

抵抗しろ!!

立ち上がれ、武器を取るんだ!!

しがみついてでも、殺されても、今、抗うんだ!!

やるだけの覚悟を持て!!やるしか無いんだよ!!

そんなのは、いくら馬鹿なオレでもわかるだろう!?

オレの恐怖なんてどうでもいいだろ!?

アイツを認めるな。絶対に認めるな。

心が砕けてもいい。狂気に染まってもいい!!

アイツだけ止めるんだ!!!!!

こんな終わり方はない!!!!!

・・・・・・この体が、無くなろうと、死のうと、関係ない。

ジニアス倒して、『Earth』を壊しても

天体が太陽に向かっていくかもしれない。

天体が動きっぱなしの可能性だって有ることぐらいわかる。

何も動かなきゃ、灰になるだけ。

ココからは理屈じゃない!!

オレが出来る、全てを賭けろ!!!!!

――――例え、0.1%の確率でも。この世界を救えるかもしれないなら。

「原初の『雷』よ!!迸れ!!主神たる力を今、オレに寄越せェェェェェ!!!」

太陽帝ジニアス、裁きを受けやがれ!!!

《ケラウノス/雷霆》行くぞ!!!

アイツをなぎ払え、焼き尽くせ、跡形も残すな!!!

――――《TitanoMachy/ティタノマキア》!!!!!!!

『ザッ――――、ザザッ――ザッ――――――ガガガガッガガガガッガガッガガガガドドドドドドドオオオオドドドドドドオオッガガガガッガガガガガガガッガガガオオオドドドドドドオオオオオドドドドドドオギドドドオオオオドドドドドドオオッガガガガッガガガガガガガッガガガオオドドドオオオオドドドドドドオオッガガガガッガガガガガガガッガガガオオドドドオオオオドドドドドドオオッガガガガッガガガガガガガッガガガオオドドドオオオオドドドドドドオオッガガガガッガガガガガガガッガガガオオギギガガドドドドドドオガガ―ギギギガガガギギギ―ッガガドドドドドドオドドドドドドオ――ボゥボボボゥオオオオオオオオオ』

ココは何だ?

どうなった?

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