38.ポジティブ思考

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※ヨシ視点

ジニアスが大人しいと思ったら、既に相手をしてたとは。驚き。あんな巨猿にオドオドしてらんねーぜ。

堅い上に、色んな耐性ね・・・・・・。

Grayな毛が鎧代わりか?ソコもまだグレーゾーン。

アイツらの体勢を崩し、下に落とすのがオレの役割。

『冥王』の能力を色々試すか、無礼な猿共を叩きのめす。

「ヨシ、このクソ猿共を、オレの《Aegis/イージス》で上だけ開けた檻に閉じ込めたぞ!下に落として、くれるだけでいいぞぉ」

ユウ、張り切ってるね!

コレは巨猿共でも流石に効くだろ?Coolにしてやるから喜びな♪

「――――《Black Window》/黒い窓――――」

ハハッアハハハハハハッ!!予想以上にCoolだな。

よく似合ってるぜ。その全く見えないサングラス。

面白いけど、下には落ちねぇな。でも、ノって来たぜ♪♪

オレのDanceにつき合って貰おうか!!

合わせ技だ。楽しめよ。そして、翼を閉じろ。

「――《Dark Marionette&Dancer》/闇の傀儡と踊り子――」

意外と抵抗力がある。もう一押しか。

コレは通じそう。オレでも怖い、最強クラス。半端じゃねぇぞ。

現代社会舐めるなよ?オラウータンが厳しい社会を乗り越えられるか?

上下関係、差別、上司からの圧力etc、纏めてドンだ!!

「――《Society’s pressure》/現代社会のプレッシャー――」

一番、効果覿面じゃないか・・・・・・。巨猿共が怯えてるぞ。

やっぱり、辛いんだな。世知辛い世の中。

というか、『冥王』の能力は怖いのばかりだな・・・・・・。

◆◆◆◆◆

※ユウ視点

ヨシは何やってるんだよ!?

そりゃぁ、巨猿共は皆、下に落ちてきたよ?

全部、怯えて、うずくまってる状態だ。

オレには寧ろ、この状態の巨猿共が怖いよ!!

とりあえず、全ての『クワ』を破壊するか・・・・・・。

あっ、やべぇ、もう、不憫なただの怯えた猿に見えてきたな。

さっきまでは、あんなに元気な化け物感があったのに・・・・・・。

―― 駄目だ。オレには殴れねェ。・・・・・・動物好きだからなぁ。

「ヨシ!!オレには、コイツらを殴る事は出来ねェよ!!」

「・・・・・・Sorry。オレもDo感」

「えぇ~、どうするよ!?」

ヨシが何か閃いたようだ。良かったぁ。

「ユウの《Aegis/イージス》じゃ、勿体ない。オレが新たな檻を作る。そこに放り込んで『冥界』へ送り込む!!!どうだ!?」

ドヤ顔だが許す!!これ以上の案は無いって位、名案だ!!

「そうそう、ヨシとオレは優しいからなぁ。コイツらも、とりあえず『冥界』に置いておいて、後で『洗脳』すればいいさ。『冥王』の能力で、出来たハズだろ?」

――『洗脳』。

よくよく考えると、なんと邪悪な響き・・・・・・。

『洗脳』かぁ。しょうが無いよな。巨人達と仲良くなるさ。ポジティブに考えよう!

「―――《Black Cage》/黒檻―――」

ポンポン詰め込むか。

ホラよ。ハイよ。コラさっと。どっこいしょっと。

うん。おとなしいし、安全だね。うん。何かいい事した気分だ。

「はい、準備バッチリ。後は、送り届けようぜ」

「OK。オレ達、優しい花丸な笑顔。まるで動物愛護家。以後、心が広くなった気分」

「うん!確かにな。オレ達の器が確実に大きくなったぞ。これ絶対。マジで偉い気分全開。じゃあ、置いたら、すぐ戻ってきてね!」

「――――《Gate》/冥界へ――――」

アレ!?地震か?揺れすぎじゃね?立ってらんねーよ!!ダイス兄かなぁ・・・・・・。暴れすぎ。

◆◆◆◆◆

※グレイス

ダイスったら、ココに山脈や自然を増やして、どうするつもりなのかしら?ランには、土と緑を大量に作って貰いましょう。

「ランは精霊の力と『豊穣』の力で、ココに大森林をつくってちょうだい。ジャングルみたいなのがいいわね。何となくなんだけどね。フフフッ、私は隕石を沢山落として、地形を変えるわ」

「僕はジャングルを作るんだね!どうせなら、見たこともないような太くて大きい木を沢山ならべるよ。植物も色とりどりにするから、グレイスは山を作ったら、季節を春に変えてね!綺麗な感じにしようよ!」

「了解!じゃあ、それぞれ、はじめましょ」

どのくらいにしようかしら?大陸くらいがいいかな。地球、いや、宇宙最高峰の山脈作りにチャレンジしようっと。

戦っている場所と真逆がいいわね。この前、奈落で使った技を大きくしてみるかな。

『全宇宙で最大にして、最高峰の山脈となりなさい』

======《Large meteor shower/ラージメテオシャワー》========

『ミシッズギギギギィィィィィィィィィィィィィイィィィィィィィィ』

――まずいわ。

この星を壊しちゃう・・・・・・。ばれない内に、星のサイズと強度も上げないと――。

コッソリ。ひっそりしなきゃ。

「――《《《《《《Five Stars/五重の星》》》》》――」

やった!間に合ったわ。成功ね。

『ズガアアアアガッガガガッガガガガッッガガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガズガアアアアガッガガガッガガガガッッガ』

「グレイス、酷い地震だよ!!!明らかに、コレが原因でしょ!?僕、あまりの揺れに転んじゃったよ」

「ご、ごめんなさい。山脈を宇宙最高峰にしようと思ったの・・・・・・」

「そ、そう。狙い通り上手く行ったと言えば、いいのかな?兎に角、頂上がわからないね・・・・・・・・・。まったくぅ~・・・・・・、折角、僕はちゃんと真面目にやっていたのに、グレイスと一緒だと調子が狂うなぁ。真面目にやってね!!僕の方も終わったよ」

シ、ショックだわ。ガーン・・・・・・。

な、なんて、なんて恐ろしい子なのかしら。

この子の場合、表裏がない分、叱られた時の衝撃が大きいわ・・・・・・。

――真面目に、真面目にね。確かにそうね。うん。ランは何も間違った事は、言ってないわ。私が素直に反省するべきね。

それで、ランが作った森林はどうなったかしら?

えっ?コレは、何?木の壁?違うわね・・・・・・。表面は、木の皮ね。

どういうことなのかしら?木の皮で壁でも、作ったの?何の為に・・・・・・?

――違うわ。

コレは・・・・・・、一本の木の幹。それぞれ、直径、三十メートルはあるわ。お化けの大巨木!!

「ラン、少し銀弧モントルに乗らせて、全体図を見て見ましょう」

空に幾ら昇っても、私の作った山の頂上が見えない。ランの森林は、この密林は・・・・・・。私達が一cm位の小人になったみたいだわ。もう、私とランのいる場所は、別世界ね。

大巨人が住んでいてもおかしくないサイズ感。

揃いも揃って、何て愚かな――。

ランは何も疑問に思ってないわ。若干、満足気にしてるわ。何て不憫な子なの・・・・・・。

花だけは普通のサイズで良かったわ。綺麗ね。ココだけでも心安まる場所にしましょ。 ポジティブに考えなきゃ駄目ね!

「――《春/Spring》――」

「グレイス、花が色とりどりで綺麗だね!後は山にチャチャチャと木を生やしたりすれば、僕たちのひとまずの役目は終了だね!ミッション成功!!」

「そうね!そうしましょ!」

ランは根っからのポジティブね。私もポジティブ、ポジティブ。

◆◆◆◆◆

※ケイ視点

皆来てくれて、助かった・・・・・・。何とか、危機は乗り越えれそうだな。

オレは『オレの領域』を作るか。天空に上がろう。

『気候』の影響が、まだ戦場には出ないようにしないとな。幸い、相当デカい星だ。ダイスのお陰で専念出来る。

天空に、真っ黒いコールタール色になるまで、暗雲を練り込む。豪雷と暴風を仕込み、塵のようにした多面体の鉱石も混ぜる。竜巻の種も混ぜまくろう。コレが一層目。

次は、『雷』と多面体の鉱石だけの光だけの層。

一層目と二層目を出来るだけ、凝縮して、すぐに展開出来るようにしておくか。

最後は、暖かく緩やかな『風』のベッドを作る。

ふぅ、疲れた。ヨシに貰った薬を飲んで、横になるか。後はダイスの指示待ちだ。

はぁぁぁ、相当、気を張っていたんだな・・・・・・。こうして、ユックリするとよくわかる。

ふぃぃぃ、気持ちいいなぁ。

『ズガアアアアガッガガガッガガガガッッガガズガア・・・・・・・・・・・・』

何だ?隕石か!?

うぉっ!!えぇ!?辺りに、馬鹿みたいなサイズの大巨木がそびえ立ってるぞ??幾ら何でも、こんなのはないだろ?森林限界とか一切無視!?

はぁ!?後ろを見たら、全部ガレ場に変わってるじゃないか!!頂上が見えないな。

さっきの隕石が積み上がったのか。コレどうするつもりだよ・・・・・・。

ランとグレイスはやりすぎだな・・・・・・。

不安になってきた。戦場は大丈夫なんだろうな?ダイス、ヨシ、ユウだから、大丈夫だと思うけど。相当揺れただろうな。

う~ん。ま、大丈夫か!ポジティブにいこう!アイツらなら問題ない。そう大丈夫。安心していいんだ。こういう時はポジティブなのが一番!ユックリくつろいでよっと。

少し寝ます。おやすみなさい。

◆◆◆◆◆

※ダイス視点

さて、いよいよジニアスとの勝負だな。ケイが頑張って、アレだけのダメージを与えたんだ。オレも張り切るか。でも聞き出したい話があるな?ケイは聞いただろうか?何で、オレとケイは冥王星にいたんだ?

ヨシから、ジニアスの情報は貰ってる。体は、ついさっき見たとおり、堅い鉱石で覆われてるんだな。ヒビ割れが酷かったけど。武器は、形状変化する剣と、地球みたいなサッカーボール位の球が二つだよな。

能力は、時間操作。時空断。切り裂いた場所は、消えて無くなる。他はオレが直接、確かめるか。

あぁ、戦う前に、一本開けとこう。そうだな。ジニアスに相応しい名の焼酎だ。『百年の孤独』。

――孤独だっただろうな。

ジニアスの相手をしている九つの首を持つ龍は、オレが作った龍。名は『酔水神龍』。下に潜らせるか。龍を地面に浸透させる。龍は地中で動き廻り、辺り一帯を泥沼に変えた。

オレはペガサスに跨がっているから、足場は関係ない。

ジニアスの体は、相当重いみたいだな。沈んでいく。

まぁいい。話を聞くのには、好都合だ。

「待たせたな、ジニアス。百年振りに会ったのに、いきなりハデスの所に送るって酷いだろう。オレは紳士的に話してただろうが。元部下に対する態度としては頂けないぜ。オレは聞きたい事があるんだ。そこから出してやるから、話でもしないか?」

「さっきまでココにいた化け物はお前の仕業か。次は、お前自身が相手か?ダイス。この死に損ないがぁ!!時空の彼方へ切り飛ばしてやる!!」

大剣で宙を三回切ったと思ったら、沼から出てきた。空間を切り裂いての移動だな。

オレに向かって、大剣を振りかざして来る。残念だが、話す気はないみたいだ。トライデントで大剣を受け止め、正面からの鍔迫り合いとなった。

膂力は、オレの方が強いな。大剣を振り切らせると面倒だ。何がどう動くか予測しにくい。大剣を振りかざした時に、止めるか。剣速は速くない。寧ろ、遅い。足場がジニアスにとって、最悪みたいだな。目は見えているのか?焦点合っていない?いや、死んでいるような目だ。光がない。

確実に能力や、体の事を確かめよう。気を付けるのは、能力であって、剣技じゃない。

「ココからは、オレが直接相手をする」

「あぁ、お前が相手というのはいいなぁ。私は、ケイとダイス、それぞれ、別個に相手をしたかったんだぁ。ハハッ。皆殺しにするといったろ?お前らは一番惨く殺す。惨めに殺す。ケイの能力だからこそ、ダメージを与えられたに過ぎない。あの技は何回も使える類いの技じゃぁない。お前らは、わざわざ殺されに来たようなものだ。馬鹿な奴らだ。最低最悪な形で全員殺す。死ね。死ね。死ねよぉぉぉおおオオ!!!!」

人格が違う。いや人格というより、正気じゃない。

昔は、あれだけ、人格者だったのに・・・・・・。

少しはわかる。背負い過ぎだ。

昔も、気負い過ぎる所のある人だった。

――過去、そう過去になったな。

もう、オレとジニアスは元の関係には、戻れない。

沢山、世話になった。戦争で病んでいた時に、いつも気にかけてくれていた。

本当に優しく信頼の置ける大人の人だった。

何度も何度も「死ね」と繰り返し言いながら、大剣を振るってくる。振りかざしたと同時に大剣を動かせないように、止める。

「お前の表情で殺す順番を決めるからな。フフ、お前らを、ケイとユウを、殺した時のお前の顔が楽しみでしょうが無いんだ。お前は一番最後に殺す。一番最後まで全てを見届けさせる。絶望を与え、泣きわめき、発狂する位徹底的徹底的徹底的徹底的徹底的徹底的徹底的徹底的徹底的徹底的に、お前をおかしくしてやるからなぁ。楽しみにしてろ。私も楽しみでしょうが無い。フハッ、カッカッ!想像するだけで腹がよじれるよ」

「――ジニアス。アイツらは、アイツらはオレの『家族』だ。『家族』を殺そうとする奴から、皆を守るのが、『長兄』たるオレの当然の役目だ。アイツらに今は手出しもさせない。オレとの一騎打ちだ。昔の・・・・・・、昔のアンタはもう、忘れる。話をする気も無いなら、容赦はしない。こっちからも、行くぜ」

「――~~体中を調べろ。皮を剥がせ《多重打振裂渦》~~――」

『ガガガガガガガガッガキャッ、バリッ、グギィィィ』

ジニアスの体中に振動を与え、渦を作る。医者が打診をするように、体中の状態を調べる。

服が裂けたその姿は、さっき見たばかりの機械人間だ。複数箇所のヒビも治っていない。何より、振動でわかったのは、生身の部分の少なさ。

「ジニアス、体が本当に機械だな。生身部分は、心臓、脳、脊髄、舌だけだ。目すら見えちゃいない。オレの《打振》を欺く事は出来ない。体となっている機械構造も把握した。能力を簡単に使わない理由が謎だったが、ハッキリした。対価が必要となるんだな。――遠慮無く、破壊させて貰う」

「その通りだ。ダイス、お前の武器も可笑しな堅さだな・・・・・・。仕方ない。『Earth』よ。ここへ戻れ」

コレがジニアスの武器。『Earth』と呼んでいたが、本当に想像絶する代物だ・・・・・・。コレを武器と呼ぶ神経が、もう理解出来ない。『命』の塊じゃないか・・・・・・。数十億人の『命』を何だと思ってるんだ・・・・・・

ケイが怯えたのも理解出来る。コレで攻撃とはな・・・・・・。

オレは引き下がらない。

漸く、ジニアスの根本が、オレにも少しずつ見えて来た所だ。

能力の代償は相当大きい。ジニアスには、余裕なんて常にないんだ。

手負いの獣は強い。

手札の出し惜しみをしたら、即やられる可能性が高い。

――先に仕掛ける。

『ズガアアアアガッガガガッガガガガアアアアアガッガガガッガガ アアアガッガガアアアガッガガガッガガ ガッガガ ・・・・・・』

何だ?後ろか!?アレはグレイスの隕石だな!?

みるみるうちに、巨大な山脈が出来上がっていくじゃないか。

うん?コッチにも来る。

『ズガァーーズズガァガーーーーーーーーーーーーーン』

何発か堕ちたな。

これ程の規模だと、相当揺れるぞ。大地震だろう。オレ以外はまともに立ってられないだろうな。

案の定、ジニアスは膝をつき、泥沼に埋まっていく。

畳みかける。いいタイミングだ。

「―~~《トライデント》よ、この大地を割り、海を作れ~~――」

相当地盤を固めてくれていたようだな。コレなら闇の世界のような深海が作れる。

折角だ。生身の部分は、アルコール漬けにして、動けなくする。

「――~~《Trench of Alcohol/酒流海溝》~~――」

ジニアスは海溝に堕ちたな。これ程の深さは、幾ら切り裂いても、能力を使わない限りソコからは出られない。念には念を。

「――~~《Drunken Flow Vortex/酔流大渦》~~――」

コレで皆と一旦、合流する時間は作れたな。

――感傷に浸ってる時じゃない。

アレ?この木の壁は何なんだ?ランの仕業か。・・・・・・アイツら、手加減を知らないな。

コレは森というより、大迷宮みたいになってるぞ!?

ユウが、ヨシと一緒で良かった。

空を飛べなきゃ、迷子になるぜ。

ハハッ、アイツらのお陰で、ポジティブ思考に切り替わったぜ。

一応、感謝だな。

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